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 魔法遣いを辞めたかった。
 それは、熱病に浮かされた子供が涼気を求めるくらい、正当な衝動だったと思う。

 深夜の公園で遊び歌う彼らは、皆あどけない笑みを浮かべながら世界を呪っていた。
 輪の外で1人佇んでいると、仲の良かった子がにこりと笑って私を招き入れる。

 「おいでよ」

 水色のスモックを羽織った彼女は、実年齢が外見年齢の5倍以上ある。

 ここは時間を裏切った者達の社交場だ。
 赤いセーラー服を着た私同様、何かに成長を肩代わりさせている。

 世界の代償を退けるために費やした力は、膨大を越す膨大な量。
 ――それこそ世界を逆転させられる程度に、蓄えられてきた。

 彼らは遊ぶ。
 縛られない。
 踊る。
 全てを否定する力を持ちながら、野放図にそれを流し続ける。

 ――この街は、あと一週間で滅び去るらしい。
 術式に使う水銀の雨は、それだけで数多くの悲劇を生んだ。
 私は1人で何度も泣いた。
 彼らは私を見て少し泣いた。

 そして今――私は剣を突きつけている。
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