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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 朝のメニューは卵焼き。 キッチンを歩き回るスリッパの音で目を覚ますと同時に、お砂糖と混ざり合う卵の匂いが 「わあ」 ……う、よだれが出た。 跳躍、回転、着地。10.00。 一通りの歓声を聞いて満足してから、昨日、何度も袖を通したブレザーを見やった。 「えへー」 自然に笑いが込み上げてきてしまう。 でも、だって、ねぇ……仕方ないよ。 「――ぅおはようございまーーすっ!!」 すぱーーーーんっと引き戸を開け、朝の挨拶。 「……朝からうるさい」 のヒトコト。相変わらずの無愛想です。 朝だけじゃなく、年がら年中こんな感じ。 「……えへー」 「む、また何かアホなこと考えてたろ」 追記。最近はわたしの扱いがちょっとぞんざいです。 立ち飲みは良くないと言って言うのにいつまで経っても直しません。 「――って、そうだ」 「あ?」 思い出した思い出した。今日機嫌良く目覚めた理由。 「ねえねえお兄ちゃん、コレどう思う?」 わたしは制服の襟を正し、余った袖をちょこっと摘んでターン。 「どう思う?」 繰り返す。 「……似合うよ」 「もっと心を込めて!」 「うるさいな。昨日何回言ったと思ってんだ、全く……」 「ぶー」 「似合ってるから安心しろっての」 わさわさと、大きな手がわたしの髪を撫でます。 「充電充電ー」 生きるパワーがほっぺたにまで行き届いたのを確認してから、 専用の先割れスプーンで、半熟の身をぐっと……、 「うわあ」 「よだれ、よだれ!」 今朝はキノコとタマネギと挽肉を炒めたモノが中に詰まっています。 「花マルです、お兄ちゃん!」 「……そうか」 あ、照れた。 「照れてない」 照れたんだ。 わたしはそう心の中で思いながら、笑顔で卵焼きを頬張る頬張る。 「(しあわせー)♪」 「……こぼすなよ」 やはり半目で言ってから、お兄ちゃんは左手をぐっ、ぱー、と結んで開いた。 マグに顔を埋めて、お兄ちゃんは言った。 「友達には連絡したのか?」 「うん。いつもの場所で待ってるって」 「――――そう、か」 長いタメを作って、一息を吐く。 「早く、慣れると良いな」 何故か寂しげに、 「学校」 PR |
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