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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「――参ったなぁ、脳がやられると再生が遅いんだね。これから気を付けなくちゃ」 「そうか。次はそんな記憶も飛ばしてやるよ。 「そうなんだ。ふふ。私はね、お兄ちゃん。 「そうか。じゃあそれまでの間に、白痴にも劣る馬鹿女にしておいてやらないとなあ。 「あははははは、言うねえ。言うねえお兄ちゃん。弱い弱いお兄ちゃん! ……聞くに耐えない。 ざくざく、という何かの音が続いているのを無視して、私は裕貴に問いかけた。 「ミコトは、本当に……死んだのか」 「そうですよ。何度も言わせないで下さい」 ざくざく、ざくざく。 「死体、は」 「はい?」 「……死体はあるのか? それを見せられない限り、私は認めるわけには行かない」 今思えば、それは最大限の強がりだったろう。 まだ自分の理解できる範囲に居て欲しかったから。 この状況はどこかが嘘なんだと、信じたかったから。 「死体? ハッ! 死体ねぇ?」 苛ついた口調が、哀しい。 「有りますよ? 死体なら、『そこら中』にね。気付いてなかったんですか?」 ぬるり、という。 視線を向けると、そこには、非現実的な中では比較的現実的な 据えた匂いの……吐瀉物。 「……………………あ」 いや、これは、仮定の話。 「――――っ!!」 急激に喉を迫り上がってくる感触。 「手間かけさせないで下さいよ。コレは、集めて教会に持って行かなきゃならないんです」 向けられた言葉は、ひどく冷たい。それに、絶望的なくらい病んでいる。
「ふわあ」
最悪なタイミングで、災厄が目を醒ました。 「アレ、何この状況。ていうか私、裸なんですけど」 「余裕のお目覚めだな、サクラ。 「あ、お兄ちゃんおはよー。何その出刃包丁。刃こぼれだらけで全然怖くないよ?」 「ん? ああ、こりゃオマエの肋骨開くのに使った奴だからな。 「そうだね、意識がすぐになくなるからあっけなく終わっちゃうのに。 「はははは! そうだなぁ。今度は生きたまま子袋引きずり出してやるわぁ。 「あっははははは! 相変わらずお兄ちゃんって殺し方が下品なんだから。 「うるせえぞクソジャリ!! 月のモンもまだ来ない癖に色気付きやがって。 「吠えてねえで掛かって来いよクソ兄貴が!!
「止まれ」
我慢の限界だった。 アタマの後ろがシン、と冷えている。 さっきまでの不快感も、まとめて消え去ってしまった。 ああ、哀しいな。 PR |
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