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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 その迎えは、魔法を使わなかった日の午前3時にやってくる。 合わせ鏡の中からやって来た悪魔はやれやれと嘆息を吐きながら、 小生意気な私に向かって薬指を差しだした。 慣れっこの事でもお互いに怖い。 黒く尖ったそれを喉までくわえ込み、第3関節を境に思いっきり噛み千切る。 ケミカルな紫色の体液に溺れかけながらも、私はそれを余すことなく飲み干した。 カーテンが揺らめく。 外は深紅の空。 私は胃の中で生成された指輪を吐き出すと、それを股間に埋め直して夜に飛び込む。 狩りは既に始まっていた。 空翔る少女達は、思い思いの武装を手にしながら、いつ終わるとも知れない戦いに身を投じ、 歓喜の雄叫びを上げている。 明け方までの不死と恍惚に酔いながら、私は鋼鉄の鎌を振りかざした。 血の雨が降る。 瓦礫が美しく舞う。 劫火が照らす。 屍が泣く。 嬌声と陵辱と略奪と暴力と破壊と冒涜と狂騒と姦淫の宴。 おおよそ罪悪というのモノの限りを尽くしたような血みどろの舞。 遠くに望む月食は、覚醒を待つ私達の目蓋に似ている。 この空間で出来ないことは、無い。そう思わなければ、待っているのは緩慢な死だ。 魔法は使わなければならない。 悪夢に犯されながら学んだのは、その一つだけ。 契約は、少女の死まで継続する。 一度でも奇跡を望んだ者は、その法則に縛られるしかない。 ――――――3時間が経った。 運良く生き残ったのは、ちょうど2人。 お互い、奪った肉と体液の所為で下っ腹が醜く膨らんだ上に、 手袋と靴を履いている以外はほとんど裸だった。 顔は原形を留めていない。 それでも笑顔だと解ったのは、お互いの発する吐息がマイナー調ではなかったからだろう。 飛び出す。 折れた足で、バランスを愉快に崩しながら、重心をかけて、ただ前に。 がつ、ん 。 目の奥に散ったサイケなパターングラフィックを、遠い気持ちで見つめ、思い、倒れる。 彼女は私の下腹部からキラキラと輝く指輪を取りだし、勝ち鬨を上げた。 「おめでとう」 祝福すると、彼女は女神のように美しく笑って、空へと上っていった。 赤い瞼が開く。 瞬時に私の意識は分解と再構成と転移を行い、 果たして少女趣味な我が家の2階へと戻ってきた。 時刻は8時52分。 今日が日曜日で有るはずはない。 だけれど重い生理がある。 私はシーツをだらしなく引き寄せ、本日最初の魔法をかけた。 おやすみなさい。 PR この記事にコメントする
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