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 ――結局は、そうなのだ。
 いくら時間を重ねたところで、タダのワガママで貫き通せないモノは存在する。
 どうしようもなくても、直視できなくても、否応なく目の前に展開する悲しい未来。

 ……かみさま。

 私は祈りというモノに特別な思いを抱いている。だからこんな瞬間でも貴方に祈ろう。
 人の思いは、どんな観点からしてみても、解析できない、
 割り切れない特別な単位である、と私は信じている。

 なのにどうして。世界は、時に平気な顔をしてすれ違いを生むのだろう。
 悲劇のヴォルテージと言うモノが世界を動かす大事なファクターだというのなら、
 せめて私以外の所からそれを奪っていって欲しかった。

 ……かみさま。

 貴方の力を試してはならないと、皆が言う。
 それは祖母の皺に刻まれた笑顔からも、冷笑的な怠慢教員からも等しく教えられたことなので、
 今更それに逆らおうとは思わない。
 全知全能な貴方の手を借りると言うことは、世界に致命的な歪みを生んでしまうのだろう。
 だから、こうして貴方に問いかけてみる。

 ……かみさま。

 貴方は、今日という日が来ることを知っておられたのだろうか。
 今までの幸せな時は、全てこの時を頂点に構成されたマボロシだと考えていたのだろうか。
 あるいは、別れの哀しみを知った上での哀れみだったのだろうか。
 私には解らない。
 問いかけることに意味を見出す私を、貴方が笑うかどうか、知る由もない。

 ……かみさま。

 香油と茨がこの手になくとも、こうして忘我していられると言う状況が、
 彼と貴方の最大の功績だと私は思う。
 これから呪うべきモノは、貴方が耕してきた異郷の地に置いていくとしよう。

 ――かみさま。

 本当は、あなたの存在など信じたくはなかった。その心情は今でも変わらずに持ち続けている。
 私の弱さを笑うだろうか。それを知る誰かに訊いてみたい。
 全知全能、絶対不可侵、唯一無二の存在が、どんな音を立てて笑うのかと。
 私を。私に。どうか。
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