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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「……うわぁ」 完成したばかりのアクセサリに触れ、彼女は小さな口で白い息をもらした。 良いの?と窺う目に、いつもの無機質な面影はない。 いつも陶磁器のような白い頬にも、鮮やかな赤みが差していた。 僕は無精髭だらけの顔をこすりながら、数日間の徹夜が無駄じゃなかったと喜びを噛みしめる。 そして、ポケットの中にあるモノの感触を確かめ、今度は軽く緊張した。 「……コレと、セットなんだけど」 差しだしたモノに、彼女の視線が止まり――、固まる。 それは何の変哲もない、ただの真鍮製の合い鍵だった。 誰のモノかは、言うまでもない。 数秒間の沈黙は、かなり堪えるほど痛かった。 「……要らない、かな」 そう言って引っ込めようとした右手を、がし、と掴まれる。 手が痛い。 顔が、何かちょっと怖い。 何かフォローをしなくてはと口を開き掛けたところ、 「邪魔しないで」 彼女はぴしゃりと言い――、 「ときめいてるんだから」 PR |
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