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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「ねぇお兄ちゃん。大人にしてって言ったら――してくれる?」 妹はそう言って、上目遣いに俺を見た。 冗談には見えない。 本当の意味まで解った上での、誘惑。 「仮に俺がお前を好きだったとして」 振り向いて答えた。 「そう言う動機なら、間違いなくしてやらん」 「……そっか」 答えなど……最初から解っていたし、どうでも良かった。そう見える。 思い詰めていたのは知っていた。 だからこそ、俺は正面から答える。 「じゃあキスして」 「おい」 「お願いだから」 涙が落ちる。 「もうしないから」 妹は、ただ一つの許しだけを待っている。 その様が、ひどく切ない。 顔を近づけると、懐かしいような、くすぐったいような匂いがした。 ――唇から、体温が繋がる。 「えへへ」 妹は思い出したように、笑った。 「何で笑う」 笑顔のまま、 もう一つ涙が落ちて、 「お夕飯の味――したから」 PR |
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