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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「記号的すぎるってのも、哀しい事よ?」 そう言うと、泣きそうな目で彼女は笑った。 前後の文脈は憶えていない。 ここに来てからの会話は、全て沈黙を埋めるためだけに使われたのだから。 言葉は、距離感の喪失を緩慢にする。 これも彼女の言葉。 曰く、散文的。 曰く、逃げ口上。 曰く、ポエムと思しき戯れ言。 ――理系の女は言い訳を好むと言う。 だが、彼女の言い訳を聞くのは嫌いじゃなかった。 好んで煙に巻かれていった。 今思えば、そうすることで互いに不都合なことを忘れていったんだと思う。 「……ごめんなさい」 真実、絞りきるように。 たった1つの吐息で僕たちは終わった。 ロジックじゃないモノを1つ棄てた彼女は、いつもより一回り小さく見える。 僕は空を見上げて、ゆっくり大きく息を吐いた。 抱き締めることは、許してくれない。 鉛色の空からは、ドラマの絵になる雪の代わりに、遠雷だけが響いていた。 PR この記事にコメントする
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