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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「ヒロタカ。私は言ったよな? 下らないことをするんじゃないと」 熱に浮かれた裕貴の顔が、一瞬冷却したように見えた。 「サクラ。オマエもだ。 コイツはキョトンとしている。多分、何故私が居るのかも解っていないんだろう。 「何だお前ら、そのザマは? ドーブツみたいにギャンギャン吠えやがって。 「ちょっと何なのシズネちゃん。いい加減に、」 私は、持っていた小型のカッターナイフを出し、左腕からすっと振り下ろした。 「じゃれ合いを見るのはもう沢山だ。殺し合いがしたいんなら、私が相手になってやるよ」 「……シズネさん」 「どうしたヒロタカ。今更ビビッたとか言わせんぞ。 何も考えられないくらいに穏やかなのに、いつも静かな口が元気だ。 ああ、憶えている。 コレが真実――、怒りという衝動だ。 「よし、じゃあ今度はシズネちゃんが餌だ。アタマから噛み砕いて上げるよ!!」 何も考えずに、ベッドのスプリングに乗ってサクラが仕掛けてくる。 下らない。 本当に。 「――縛道」 しゅるりと、私の血が円弧を描いてサクラをからめ取る。 「――砕破」 続いて、ごしゃりという圧縮音。 「――滅意」 ぼふ、という空気の抜ける、間抜けな音。 騒音の元は塵へと帰った。
がし、と。 当然ながら、まだ傷口は癒えていない。 「怖いか? 私が」 薄茶色の瞳を覗き込む。私はひどく無表情だ。 「怖いか? ――人間以外の存在が」 問いかけには答えない。 「……ごめん、なさい」 「良く言った。憶えておくぞ、そのツラと、その言葉を。 ただ、頷く。 うん、許す。 見ると、懲りない馬鹿が一名、荒い息でこの世に戻ってきていた。 「……何、なの。コレ」 「ああ、加減が出来なくて済まないな、サクラ。 「な、……じょ、冗談じゃな、」 ずちゃ。 「あの攻撃をあれだけの時間で再生するとは驚いた。 ……ふん、どうやら本当にアイツを食ってしまったらしい。 「今はたっぷりと味わうが良い。時が来たら忘れさせてやる。
――――――回想を切る。 見ると、煤と水銀で汚れた空から、最汚染区域特有の毒雨が落ち始めていた。 「妙に鮮やかだと思ったら……お前の仕業か」 私は、一匹の黒猫を引っ掴んで、共に家の中へと入った。 「感傷に浸っていただけなのに……余計な物を見せてくれる」 小さな額を撫でてやりながら、降りしきる黒い雨を見上げる。 「上がったら、久しぶりに面を拝みに行ってやるか。 1人呟いて、物言わぬ猫の額を撫でた。 PR この記事にコメントする
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